人が亡くなった後には、役所への届出や葬儀・納骨といった様々な事務手続きと、財産の分配や名義変更などの遺産分割の手続きが必要になります。
これらを大きく分けると、生活に関する手続きが「死後事務」、財産に関する手続きが「相続手続き」です。
どちらもご家族にとって負担の大きい対応となるため、誰がどこまで担うのかをあらかじめ整理しておくことが大切です。
死後事務とは
死後事務とは、葬儀・火葬・納骨・家財整理・公共料金の解約・医療費の清算など、亡くなった後の生活上の手続きや整理を指します。
通常、これらの手続きはご家族が行うことがほとんどですが、家族が遠方にいる、または身寄りがない場合などには、「死後事務委任契約」を結んで、専門家や信頼できる人にあらかじめ任せておくことができます。
死後事務は「相続」とは異なり、財産の分配や権利関係を扱うものではなく、生活するなかで発生する様々な事務を終えるための整理を担う手続きです。
相続手続きとは
一方で、相続手続きは亡くなった方の財産を新たな権利者に帰属させる法律行為です。
相続人間の遺産分割協議や名義変更、預貯金の解約、不動産登記など、財産に関わる手続きを中心に行います。
遺言書が遺されており、その中で「遺言執行者」が指定されている場合、その人が中心となって手続きを進めることになります。おひとり身の方など、手続きを進めてもらえる人がいない場合には、必ず遺言書を作成し、遺言執行者を指定しておきましょう。
遺言執行は法的な権限を伴うため、相続財産の取り扱いに関しては死後事務よりも広い範囲で責任を負う立場になります。
異なるポイントと共通するポイント
| 比較項目 | 死後事務 | 遺言執行(相続) |
|---|---|---|
| 手続き内容 | 葬儀・納骨・公共料金など生活面の整理 | 財産分配・名義変更など法律上の手続き |
| 委任の方法 | 生前に「死後事務委任契約」で依頼 | 遺言書で「遺言執行者」を指定 |
| 法的性質 | 委任契約に基づく私的な対応 | 法律上の権限を伴う手続き |
| 対応期間 | 死後から葬儀・清算までの短期間 | 相続手続き完了まで(数ヶ月~1年程度) |
| 主な目的 | 生活の整理・終焉の支援 | 財産の承継・法的な権利関係の整理 |
一方で、共通点としては次のような点があります。
- いずれも「亡くなった後に必要な手続きを代わりに行う」点で共通している
- 生前の契約や遺言によって「誰に任せるか」を明確にしておける
- どちらも、家族の負担を軽減し、安心して最期を迎えるための準備である
死後事務受任者と遺言執行者は同じ人が望ましい
死後事務と遺言執行は、それぞれ扱う範囲は異なりますが、どちらも「亡くなった後の手続きを一貫して進める」役割を担います。
もしこれを別々の人に依頼した場合、葬儀や清算といった生活面の処理と、財産の整理・名義変更といった法律手続きとの間で、情報共有や責任の所在が複雑になるおそれがあります。
そのため、死後事務受任者と遺言執行者は同じ方にお願いするのが安心です。同じ人が担当することで、亡くなった後の流れをスムーズに進めることができ、トラブルの防止にもつながります。
死後事務と相続手続きは、それぞれ内容こそ異なりますが、「自分の思いを最期まで実現する」という目的は共通しています。誰に何を任せるかを生前に決めておくことで、家族の負担を減らし、自分らしい終わり方を実現することができます。
古河生前対策相談プラザでは、茨城・古河で死後事務委任契約や遺言書の作成、遺言執行業務を多数支援してきた行政書士が、死後事務から遺言執行まで丸ごとサポートしています。
必要に応じて司法書士・税理士とも連携し、財産・契約・登記の各手続きを一貫してサポートいたします。初回相談は無料で承っております。死後事務や遺言の準備をお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。