財産を次世代に引き継ぐ方法は大きく「相続」と「生前贈与」に区別されます。
ご自身の死後に発生する相続に対し、生前から取り組める生前贈与は、単に財産を減らすだけでなく、将来の相続税の負担を和らげたり、必要な時に必要な人に資金を渡したりといった柔軟な運用が可能です。
こちらでは、生前贈与について、詳しく見ていきましょう。
相続税対策としての生前贈与
生前贈与が注目される最大の理由は「相続税の軽減効果」にあります。相続税は、亡くなった時点で遺された財産の総額を基準に課税されます。そのため、多額の資産を遺したまま相続を迎えると、遺されたご家族に相続税の負担がのしかかってしまう可能性があります。そこで有効なのが、贈与税の非課税枠を利用しながら少しずつ財産を移していく「暦年贈与」を利用した相続税対策です。
暦年贈与の節税効果と注意点
暦年贈与では、年間110万円までの贈与は贈与税が非課税となるため、この非課税枠の範囲内で毎年コツコツと贈与を行うことで、贈与税の負担なく相続財産を着実に減らすことができ、結果的に相続税の負担を軽減することが可能です。
ただし注意しなければならないのは、「相続開始前3年以内に行われた贈与分は相続財産に持ち戻して相続税が計算される」という点です。
相続税の軽減効果を期待して生前贈与を行う場合には、早目の着手が大切です。
相続時精算課税制度の利用も検討
暦年贈与では毎年110万円までの金額しか非課税で贈与することができませんが、まとまった資金を一度に引き継ぎたい場合には、「相続時精算課税制度」を検討しましょう。これは60歳以上の父母や祖父母が、18歳以上の子や孫に対して贈与する場合に選択できる制度で、累計2,500万円までの贈与については贈与税が非課税となります。
ただし、年間110万円までの基礎控除を超える財産は、相続財産に持ち戻して相続税が計算されることになります。
今すぐ多額の資金を渡したい場合には便利ですが、長期的な節税を狙う場合は暦年贈与のほうが有効なケースも多いため、状況や目的に応じたて使い分けを検討しましょう。
生命保険と併せてさらなる軽減効果を実現
生前贈与では一定金額までしか贈与税非課税で渡すことができず、かつ相続開始前数年以内に行われた贈与は相続税の対象となります。そこで、生前贈与と併せて、別途の相続税の非課税枠をもつ生命保険を活用することでさらなる軽減効果を実現することができます。
知っておきたい贈与の特例
生前贈与を行う場合、基本的には暦年贈与の基礎控除110万円までしか非課税枠がありませんが、特定の目的で行う場合に利用できる特例があります。これらの贈与の特例は対象者に限りがあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
配偶者への贈与の特例
夫婦間で居住用の不動産やその取得資金を贈与した場合に、2,100万円まで非課税で贈与できる、通称「おしどり贈与の特例」です。配偶者に自宅を遺したい場合などには遺言書と併せて検討したい方法です。
目的を定めた贈与の特例
- 住宅資金贈与:住宅を取得したりリフォームしたりする際の資金を、一定額まで非課税で一括贈与できる制度です。
- 教育資金贈与:学校や塾・習い事にかかる費用(教育資金)を、1,500万円まで非課税で一括贈与できる制度です。
- 結婚・子育て資金贈与:結婚式や出産、育児にかかる資金を、1,000万円まで非課税で一括贈与できる制度です。
生前贈与は税金に注意
ここまで見てきたように、生前贈与は贈与税や相続税を見据えながら検討しなければなりません。そのほかにも、不動産を贈与する場合には不動産取得税や名義変更時の登録免許税も発生します。特例を利用して贈与税がゼロになる場合にも、これらの税金がかかる場合がありますので、生前贈与を検討する場合には総合的に必要なコストを把握するようにしましょう。
古河生前対策相談プラザでは、相続・生前対策に関連する税務に精通した税理士とも連携し、生前贈与のシミュレーションから贈与契約書のまで、茨城・古河の皆様の生前対策をサポートさせていただいております。
生前贈与はメリット・デメリットを正しく把握しておかないと、期待した効果が得られません。大切な財産を適切に活かすことができるよう、早い段階から専門家と一緒に考えていくことが大切です。
茨城・古河では、初回の完全無料相談から茨城・古河のお客様のご意向やご状況を丁寧にお伺いし、最適な生前対策の方法をご提案させていただいております。どうぞお気軽にご相談ください。