生前贈与は、相続対策や家族への財産承継を円滑に進めるための有効な方法です。しかし、贈与によって財産を移転する際には、贈与税のほかにも、不動産の名義変更に伴う登録免許税や不動産取得税といった税金が発生する場合があります。
こちらでは、生前贈与を行うときに知っておきたい主な税金について確認しておきましょう。
贈与税 ― 贈与による財産移転にかかる基本税
贈与税は、個人から財産をもらった人(受贈者)が負担する税金です。暦年贈与については、1年間(1月1日〜12月31日)に受けた贈与額のうち、110万円を超える部分が課税対象となります(暦年課税)。
贈与税の税率は、贈与額に応じて10%〜55%と段階的に設定されています。
贈与を受けた方が申告・納税を行う必要があり、期限は翌年の2月1日〜3月15日です。不動産や高額な預金を贈与する場合は、贈与契約書を作成し、贈与の事実を明確にしておくことが大切です。
登録免許税 ― 不動産の名義変更に必要な税
不動産を贈与する場合には、贈与者から新所有者への名義変更手続きが必要となります。この際、登記簿上の名義を変更するために登録免許税がかかります。
登録免許税は、土地や建物の固定資産税評価額に対して課税され、税率は原則として 固定資産税評価額の2%です。決して高い税率ではありませんが、不動産は価額が大きくなりやすいため、登録免許税も高額になりがちです。評価額1,000万円の不動産を贈与した場合、登録免許税はおよそ20万円となります。
不動産取得税 ― 贈与による取得にも課税される税
不動産を贈与により取得した場合、取得者には不動産取得税も課税されます。不動産取得税は、取得した不動産の固定資産税評価額に対して課税され、税率は原則 土地は3%、家屋については住宅用家屋が3%、その他家屋は4% です。
ただし、住宅取得や親族間贈与など一定の条件を満たす場合は、軽減措置や非課税の特例が適用されることがあります。都道府県税のため、申告・納税の手続きは所在地の都道府県税事務所で行います。
贈与にかかる税金は「贈与の目的」に応じて最適化を
同じ贈与でも、「相続税対策」「住宅取得支援」「生活資金援助」など目的によって選ぶべき制度が異なります。住宅取得資金の贈与では非課税枠の特例があり、相続時精算課税制度を選択することで、将来の相続時に精算する仕組みも活用できます。
どの制度を使うかで、贈与税や不動産取得税の負担額が大きく変わるため、贈与によって移転する金額だけでなく、発生する税金も含めて事前の検討が欠かせません。
生前贈与を行うときには、単に「贈与税」だけでなく、不動産の贈与で発生する「登録免許税」や「不動産取得税」まで含めて、総合的に考えることが重要です。古河生前対策相談プラザでは、贈与契約の作成はもちろん、登記や税務上の注意点についても、協力先の司法書士や税理士と連携して一貫してサポートしております。
初回のご相談は無料で承っております。「どの制度を使えばよいか分からない」「どんな税金が発生するの」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。